コイの遡上と産卵習性を利用した釣り方
東関東支部 菅原博文
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水温と水深の関係もポイント選定の際、大きく左右する。太陽の熱で水面近くは温かくなっても、底の方は太陽熱は届きにくく水面温度より低い。また、止水域では透明度が悪ければ悪いほど水底近くの温度は低い。よく水通しの良い場所をねらえと言うが、水流によっても水温の変化がある。
○ 冬の間、じっと水温が上がるのを心待ちにしてきたコイは、春の水温を敏感に感じ取り、少しでも温かく、呼吸のしやすい場所へと移動し始める。冬の間、あまり捕食できなかったため(自分の体を維持するためには食わなければ生きてゆけないわけですから)、水温の上昇と共にコイ自身の活性が高くなると、産卵の体力づくりのため、水温・溶存酸素濃度共に安定している河川へと遡上を始める。コイは水温の温かい場所がどこであるか本能的に知っており、すごしやすい河川へと向かう。
○ 私は入会当時、遠藤会員の発表された水温推移図を何年も多いに利用させてもらいました。最近では第285号に載ってます。自分のものにするまで4〜5年かかりましたが、今では以上のようなことを踏まえ、春先のパターンが霞ヶ浦(妙岐近辺)だけですが、読めるようになってきました。他のポイントでもこのような所を探して入ると釣れると思いますよ!!
○ 春先3/10〜3/20頃にかけて、ここ5年で98・95・96cmと3本とっています。巣離れする前にコマセをまきポイント作りをする。(いつ巣離れするかわからないときは、2/20〜3/5頃にかけて、2〜3度行う)
○ 3/10前後よりサオを出す。(この頃には早いものは巣離れしていると思われるので直後をねらう)また、産卵前に釣り上げるこの頃のコイはでかいですよ。ただし、型が小さい時には巣離れして狙う時期が遅かったということです。時期がわからない時は早めにサオを出すこと。
★私は小型のコイがかからないようにハリを大きくしたり、食わせエサを大きくしたりといった工夫をしている。
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そばにアシ、深場、浅場、障害物等などが混在したポイントを選ぶ。
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水温の安定している場所を狙う。
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コイが遡上するには大きな理由があり、コイが住処として生息しやすい適水温15℃〜18℃近辺と言われているが、卵が孵化するのに適した水温は20℃〜22℃です。安全に孵化でき、アシや水草のある河川へと遡上し産卵行動に入る。アシ際はコイにとっては絶好の隠れ家であり、危険を感じたらコイはアシの根に潜り込む習性がある。障害物周りも同じである。
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冬の間、じっとしていたコイが動き出す頃は、体力増強のためザリガニ、エビ、タニシ、シジミ、小魚など動物性のエサを盛んに食べる。
○ ノッコミ期は植物性のエサになってくる。他の魚たちも動きが活発化し、エサ盗りも多くなってくる。
○ 水温によるコイの動き
@ 巣離れ期:10℃〜14℃(わからない時は8℃くらいから)
A ノッコミ準備期:14℃〜17℃(サオを出し始める)
B 産卵温度:17℃〜21℃
C 孵化温度:20℃〜22℃
春に最も気にかけるのは、@とAです。
釣れる順に、13℃→12℃→14℃→11℃→10℃で釣れ上がっています。
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他の釣り人は、多分、巣離れ期はあまり動いておりませんので、どのポイントでもねらえるように思えます。
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当たり、外れはありますよ。釣れない方が多いですけども、私はこの時期の方が1年で一番狙って釣れるように思います。
○ その他雑感・【菅原流極意】
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型だけに走りすぎず、自分の納得する長く楽しめる楽しい釣りをする。楽しむことが大前提です。試行錯誤するのもコイ釣りの楽しみである。
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情報を待って釣る釣りは待ちの釣りである。「釣れた」から「釣った」へ攻めの釣りを考える。
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コイ釣りをやればやるほどわからなくなってくる。常識が常識でないことが多すぎるのも釣りである。
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情報を発信する側と情報を受ける側の違いがある。
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コイ釣りはプロも素人も関係なく公平に大ゴイにめぐり合えるチャンスがある。(個人差なし)
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釣具の良し悪しに釣りは関係ない。
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ポイントの見極め方の差は、釣果にかなり影響する。釣り場を見る目を持つ。
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こうすれば釣れるという絶対の釣法などはない。
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釣れる時には釣れるし、釣れない時には釣れない。
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釣りをしている時だけが釣りではない。日々釣りである。釣りたいと思ったら、努力、努力である。
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自然を観察すること。コイは変温動物である。
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実際に釣果を上げるには、ケースバイケースで判断して対処しなければならないことが多い。
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データに過信することなく、データはデータとして自分なりに活用してこそ生きてきますよ。
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何か統計的な自分のデータベースを少しでも構築できれば悪条件下でも釣果に恵まれると思います!!
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地元の人や他の釣り人に迷惑をかけない。
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釣り場にはゴミを残さないで持ち帰る。