【テキスト】 草魚釣りの仕掛けとエサ     小西茂木解説 (昭和53年7月)

 

草魚は草食い魚ともよばれ、草の葉で釣ることのできる大魚です。飼料が豊富にあれば5年で約1メートル、重さ10キロ前後に成長。120〜130センチ、重さ20〜30キロ以上に成長するものもめずらしくはありません。利根川で産卵する親魚は年々減少するといわれていますが、しかし人工採卵受精による稚魚が毎年約百万尾、各地に放されています。

草魚はコイ科 雑食性だが、植物質の飼料をコイよりは多くとります。物音に敏感で、非常に警戒心が強いために、ポイントの選び方にも、

コイとは違った注意が必要です。草魚は昼間、数メートルの深い水底の物かげ(クイ、テトラ、沈床、その他の周囲)にかくれていて、春〜秋の候には静かな時刻(夕方から翌日夜明け頃)に、岸際の1メートルにもたりない浅場まで、エサを求めて出てきます。汽水域では時刻よりも水位の上、下に従って行動し、あげ潮時には浅場へ出て、ソコリ時には水底の物かげにひそんでいます。釣り方は草バリ、またはネリの宙釣り。または遊動ウキをつけての脈釣りとなります。やりやすくて効果の多いのは、下図@〜Bのエサづけの脈釣りです。この場合のウキは単にアタリをとるだけでなく、根掛かり防止にも役立ちます。

仕掛けの要点 図@の草バリには、なるべく小さく軽く、しかも超大型の引きに耐える力のあるハリ、たとえばがまかつ・HHH「鯉角ひねり」12〜15号を使います。この草バリはアシなどの水草が浅い水底で新芽を出した形ににせるわけで、ハリが大きく重くては草の葉が横にたおれ、魚の目にもつきにくくなります。ハリスの長さ約10センチ、ダクロン30ポンド糸。あまり長くしては障害物に引っかかりやすくなります。

 図Aはコイ用のY字型仕掛けの1本のハリに、草の葉3〜4枚を刺し、ネリエサで包んだもの。針につける葉は主としてイネ科の、イネ、ムギ、ハトムギ、カヤ(ススキ、スゲ)、アシ(ヨシ)、トウモロコシ。それにホウレンソウ、サツマイモの若葉など。いずれも新鮮な若葉の先の部分をよく食います。むしイモ(サツマ、ジャガイモ)も好餌です。これらのものは集魚効果がとぼしいので、ネリエサと併用をします。草魚用の食わせ餌兼寄せエサには、ネバリ強さ、配合材料の点などから、○九「鯉王手」が効果的です。流れ川やヤマベなど小魚が多い湖沼では、コツコツに堅くはないがネバリが強く出るように、練り方を加減することです。

釣り方(A 下図@〜Bの仕掛けでサオ2、3本をならべ、遊動ウキ併用の脈とし、2、30分毎に打ち返しをします。ただしオモリが大きすぎるとか、リールの投射に未熟で投餌音が高くなりやすいようなら、1時間に1回の打ち返しとします。アタリは軽く来ます。サオ先またはウキを軽く押えるように続いてアタリがあれば、アワセをくれます。ハリスをかみ切られる人が多いのは前ぶれアタリを見逃しているためです。

釣り方(B) オモリを2、3号にとりかえ、図Aのエサづけとし、エサが底すれすれになるようにウキで調節し、5分に1回打ち返して、甘くて柔らかい投餌音で魚群を誘います。高度なテクニックが必要。最高の興味があり、熟練者向きの釣技です。